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2017年 11月 18日

明治の日本を振り返り日本人とは何かを考える

第61回例会(9月例会)-1

ニューヨーク歴史問題研究会は9月28日、第61回例会(9月例会)「明治の日本と日本人(2)乃木希典―自らの死で示した日本人への警鐘―」を開催した。乃木希典の生涯に焦点を当て、明治時代の日本人が目指した生き方や、その精神について説明がなされた。今号と10月28日号の2回にわたりその内容を紹介する。

高崎康裕氏の解説に聴き入る聴衆

高崎康裕氏の解説に聴き入る聴衆

今回の例会は、6月に引き続き「明治150年」を機に考える2回目。講師は同会会長の髙崎康裕氏が務めた。

明治の日本を考える時、その時代の人物を中心に歴史をつかもうとすることは、同時に「日本とは」「日本人とは」何かを考えることにつながるはずだと髙崎氏は述べた。

まず、日本の成り立ちから明治維新までの流れを復習をしながら振り返ってみたいとして日本史の結節点について話し始めた。その一つは、聖徳太子が随に小野妹子を派遣した時で聖徳太子がその際に送った国書で、中国皇帝と対等な立場をとったことで、日本が「国家意識」として中華世界から完全に自立したことを挙げた。その次の結節点は律令国家としての体裁を整えた「大化の改新」で、この国の形というものがだいぶ見えてきたという。

しかし、8世紀以降は、徐々に国の形が壊れていき、その次の結節点である南北朝時代である。この動乱の背景には「上手な政治」か「正しい政治」かという、この国のあり方をめぐる本質的な問題があったと髙崎氏は述べ、その違いを詳しく解説した。

足利尊氏がとった「上手な政治」とは損得の私的な動機を権力への服従に結び付けて、それを社会秩序の核心に据えるやり方で、後醍醐天皇が目指した「正しい政治」とは、公地公民の原則に還り、正義に基づく政治を行うというもの。この“争い”は幕末・明治維新まで延々と語り継がれていったことが重要と、髙崎氏は強調した。

これに関連して軍記物の『太平記』を取り上げ、最大の英雄として楠木正成に焦点を当てた。特に湊川の戦いを取り上げ、イラストや「青葉茂れる桜井の」という楠木親子の別れを歌った唱歌も紹介した。この戦いは楠木正成の生きざまと、髙崎氏は強調した。次に楠木正成と非理法権天の思想に触れた。髙崎氏は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の例を挙げながら、これは「非は理に勝たず、理は法に勝たず、法は権に勝たず、権は天に勝てない」という意味だと解説した。『太平記』の内容にも深く触れ、近代日本をつくり出し、支え、そして再生させてきた多くの日本人にとって、圧倒的に大きな影響を与えた歴史上の人物は楠木正成であったとした。

 

解説にはイラストなどの資料もふんだんに使われた

解説にはイラストなどの資料もふんだんに使われた

この「正しい政治」と「上手な政治」の両方を立てる方法を模索し幕末日本の危機を乗り越えようとしたのが、吉田松陰で、この松陰こそ、楠木正成の生き方を受け継いだ人であったと、髙崎氏は語った。

ここから日本史上の最後の結節の時代である幕末と維新の解説となった。前述の吉田松陰は明治維新の9年前に亡くなっているが、松下村塾からは初代総理大臣の伊藤博文ほか、そうそうたる志士たちが育ったと述べた。髙崎氏は、幕末の小御所会議を取り上げ、日本の近代を告げる一番の「決定的な出来事」として、詳しく解説した。

時代は明治となったが、王政復古と言いつつ過去にモデルがあったわけではなく、「神武創業」を掲げてまい進していこうとしていたという。ちなみに「維新」は全ての意味を新しくするという意味ではなく、リストアであり、戻ってくるという意味で、「神武創業に戻る」、国づくりの根本に立ち返る意味だと髙崎氏は、解説した。

こうして始まった明治だが、その中で「さん」づけで呼ばれた英雄として西郷隆盛と、今回のテーマである乃木希典が紹介された。幕末から明治にかけては、傑出した人物が多く輩出したが、国民が真に愛したのは、「西郷さん」であり「乃木さん」だったという。

この乃木に関しては、現在のイメージは「戦下手」の無能な指揮官というもの。これは司馬遼太郎が書いた「坂の上の雲」がベースになっている。しかし、最近の研究ではこうした「乃木愚将論」への説得力のある反証が唱えられているという。ただ、重要なのは、戦史の講義よりも、「明治日本で最も劇的な生涯を送った人物」としての乃木の生き方ではないかと髙崎氏は語った。

その乃木の生い立ちに触れ、松陰の叔父である玉木文之進の家に寄宿していたことが紹介された。玉木は、幼少より松陰を厳しく鍛え上げた人物で、松下村塾の創立者であり、乃木は玉木の教えを通して松陰を「生涯の師」とするようになったという。この時乃木の父希次は、乃木に『中朝事実』という山鹿素行の本を送ったことも紹介された。

『中朝事実』は「万世一系の日本こそ“中朝”である」として書かれた本。松陰も感嘆したという内容で、教育の重要さも説いているこの本を乃木は終生、座右の書としたという。殉死をする2日前には、自身が写本したものを昭和天皇に献上したという。(続きは10月28日号で掲載)

(2016年10月14日号掲載)

(過去記事はこちらでまとめてご覧になれます)


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