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2017年 10月 21日

良い意味で刺激を受け、音楽的にも人間的にも成長

バイオリンレッスン成功の秘訣〜第10回〜

 

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よく、生徒さんのご家族に「我が子は練習をしたがらず、いつもケンカになって困っている」という風な相談を受けます。練習を習慣にして毎日のルーティンを確立するとか、練習チャートを作って目標を達成したらご褒美をあげるなど、以前にもいくつかアイデアをご紹介しました。今回はその他にアンサンブルやユースオーケストラに参加することを提案したいと思います。

音楽は一人で奏でるものではありません。むしろ、大勢で楽しむものですね。もちろん、独奏(ソロ演奏)のために作曲された曲もたくさんありますが、音楽をやっていて何が楽しいかというと、アンサンブルやオーケストラで他の演奏者と一緒に弾くことです。一番低い音域のチェロやコントラバスがベースをサポートし、キラキラしたきれいな高い音域のメロディーをバイオリンが歌い、中音域のビオラが真ん中を支え、息を合わせて美しいハーモニーを作り上げる、ある意味でオーケストラはたくさんの演奏者を合わせて作り上げる一つの楽器。アンサンブルの中に入り、皆と息を合わせて演奏すると、子どもたちはお互い、良い意味で刺激を受け、音楽的にも、人間的にも成長します。

一人で独奏曲を練習することは個人のテクニック習得に欠かせませんが、オーケストラなどに参加する場合、自分のテクニック以外の音楽的「勘」を磨くことにつながります。アンサンブルで演奏するために「息を合わせる」と一言で表現しましたが、それはシンプルなことではありません。指揮者を見ながらお互いの音を聞き、音色、音程、音量、テンポなどを合わせ、練習を重ね、音楽を作り上げていきます。この作業は神経を使い、多大な集中力を要します。ユースオーケストラでは1回のコンサートを準備するために数カ月間のリハーサルを重ね、時間をかけて合わせていきますが、その過程で子どもたちは曲を学ぶこと以上に全身で協調性を育んでいきます。

また、オーケストラ奏者としての私自身の意見ですが、リハーサルやコンサートを終えると、集中力を使い果たして疲れる反面、神経が落ち着き、静かで穏やかな気持ちになります。瞑想・座禅をした後の、心を静かにした状態に似ているかもしれません。このような経験はお子さんの人格を形成する上で大変有意義なものになるのではないでしょうか? ある程度楽器が弾けるレベルになったらアンサンブルやオーケストラに参加して、より深く、音楽を楽しむことを覚え、それを毎日練習するモチベーションにつなげていければ良いと思います。

ニューヨーク近辺で子ども向けのアンサンブルやオーケストラに参加できるプログラムをいくつかご紹介します。
(注)団体によっては同機関で個人レッスンを受けることを要する場合もありますので、各ウェブサイトの内容をよくお読みください。

●NYユース・シンフォニー(www.nyys.org/
●ISO(Inter School Orchestra of NY)(isorch.org/
●マネス音楽院Prep(www.newschool.edu/mannes/prep/
●マンハッタン音楽院プレカレッジ(www.msmnyc.edu/Precollege/Welcome-to-the-Precollege
●The School for Strings(www.schoolforstrings.org/
●ニュージャージー州、テナフライのJCC(www.jccotp.org/music-instruction

(福田千尋バイオリン教室主宰)

福田千尋

【執筆者】ふくだ・ちひろ 福田千尋バイオリン教室主宰。東京芸大、ジュリアード音楽院を経て、ニューヨーク日系人会音楽コンクール優勝。メトロポリタンオペラなどでビオラ奏者として国際的な活動の傍ら、若い教師を育てるためのティーチャー・トレーニングプログラムのトレーナーとして活躍した経験もあり、現在ニューヨーク市内、ニュージャージーなどの教育機関で子どものバイオリンの指導を行っている。
【ウェブ】www.chihirofukuda.com/

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